債券の見通しは、利回りの上昇と、株式や現金と比べて魅力的なバリュエーションに支えられています。

債券の中では、投資適格(IG)級の最も低い格付け(BBB格)とハイイールド級の最も高い格付け(BB格)の境界線をまたぐクロスオーバー・セグメントが、インカム志向の投資家にとって最も有望な戦略の1つと、私たちは考えています。歴史は、これらの債券の組み合わせが最良のリスク調整後リターンをもたらし、グローバル・クレジットの「スイート・スポット」になり得ることを示しています。ただし、言うまでもなく、過去のパフォーマンスは将来のパフォーマンスの保証とはならないことを常に忘れてはなりません。

債券:インカム投資家にとって魅力が高まる

数年にわたる低迷を経て、金利と利回りが正常な水準に戻ったことで、債券資産の魅力が高まっています。信用スプレッドはやや割高ですが、債券利回りの上昇が潜在的な下振れリスクに対する貴重な緩衝材となり得ます。さらに、社債には現在、株式や現金と比べて大きな投資妙味があり、例えば現在のグローバルIGインデックスの利回りは4.5%1と、S&P500種株価指数の益回りの3.4%2や現金の利回りの4.3%3を大きく上回っています。

クレジットの「スイート・スポット」に注目

特に有益なのは、BBB格社債とBB格社債に注目することでしょう。この「スイート・スポット」は、グローバル・クレジット市場で屈指のリスク調整後リターンをもたらしてきました。

過去25年間を見ると、BBB格のグローバルIG債とBB格のグローバル・ハイイールド債への50対50の配分は、グローバルIG債に近いリスク水準で、グローバル・ハイイールド債と同等のリターンを達成しています。現在、50対50の配分がもたらす米ドル・ヘッジ後の利回りは約5.8%で、米ドルの現金利回りの4.3%4と比べて良好です。

図表1:50対50の配分*がもたらすリターンはハイイールド債と同等…

図表2:…だがリスクははるかに低い

出所:ICE BofAインデックス、2024年末までの25年間における米ドル・ヘッジ後の月次インデックス・リターンに基づく。*注:「50対50の配分」とは、BBB格債への50%の配分とBB格債への50%の配分を組み合わせたものです。

「スイート・スポット」とは何か

簡潔に言うと、構造的な非効率性です。IG社債市場とハイイールド社債市場の境界線は、やや人為的で恣意的なものです。この境界線付近ではしばしば非効率性が発生し、ファンダメンタルズの変化に対して社債が誤って分類される場合があります。

利回り創出と超過リターンの豊富な機会

ミスプライシングは個々の銘柄レベルで発生する可能性があるため、クレジットの「スイート・スポット」はアクティブ投資家にとっても魅力的でしょう。米国、欧州全域、アジア、新興市場にまたがる2,300を超える発行体がもたらす投資機会の規模と分散が、利回り創出と超過リターンの機会を支えています。この「スイート・スポット」には金融機関の劣後債や非金融機関の劣後債(すなわちハイブリッド社債)も含まれ、それらは景気循環の様々な時点で大きな戦術的価値を提供することができます。

ミスプライシングを特定したり、格付けの変更を予測したりできるアクティブ債券投資家は、大きな追加的リターン・プレミアムを得られる可能性があります。

ライジング・スターとフォールン・エンジェルの存在

そして、「ライジング・スター」と「フォールン・エンジェル」がいます。前者は、現時点ではハイイールド級に格付けされているものの、信用のファンダメンタルズがIG級に近づいている企業の債券です。後者は、IG級からBB格(ハイイールド級)に格下げされた債券です。いずれも、BB格債のリスク調整後リターンの力強いアウトパフォーマンスに寄与しています。

「フォールン・エンジェル」については、格下げに対する市場の初期のネガティブな反応は過度であり、買いの機会が生まれる可能性があります。加えて、発行企業はIG級に復帰すれば資金調達コストを下げられるというインセンティブを持っており、これが債務再編や業務改善につながり、企業の業績が向上することも考えられます。一方、「ライジング・スター」は、財務を改善する中で高い利回りを維持しており、より優れたリスク調整後リターンを提供します。その後の信用格上げに対しても、市場は多くの場合、ポジティブに反応します。

まとめ

利回りの上昇を背景に、債券の魅力が高まっています。グローバル社債の中で、私たちはBBB格債とBB格債のクロスオーバー・セグメントを選好します。この大規模で多様な投資機会に対し、慎重かつ積極的なアプローチを取ることで、ハイイールド債に近いインカムとリターンを、IG債と同程度のリスクで実現できる可能性があるでしょう。そのため、私たちは今こそグローバル・クレジットの「スイート・スポット」への投資を検討すべき時と考えています。

  1. IG債に関するブルームバーグ・インデックス(ブルームバーグ・グローバル総合インデックス)、2025年2月28日時点
  2. S&P500種株価指数の益回りチャートおよびデータ(www.gurufocus.com)、2025年2月28日時点
  3. 米短期金融市場における米国債利回り、2025年2月28日時点
  4. 米短期金融市場における米国債利回り、2025年2月28日時点