保険会社は現在、多額の現金に代わる保有資産を求めており、アバディーンでは、ファンド・ファイナンスが多くの保険会社にとってその答えになり得ると考えています。

ファンド・ファイナンスは、ポートフォリオの分散やボラティリティの管理に役立つだけでなく、現金よりも高い利回りを得られる可能性があります。そして、ファンド・ファイナンスはその大部分が現在のような金利上昇環境から恩恵を得られる変動金利債務によって構成されていることから、今こそファンド・ファイナンスを検討する絶好のタイミングかもしれません。

ファンド・ファイナンスとは何か

ファンド・ファイナンス・ファシリティとは、プライベート・エクイティ、プライベート・クレジット、インフラ、不動産などのプライベート・マーケット・ファンドに対し、そのライフサイクルの様々な段階で提供されるローンです。多くの場合、市場は次の2つに分類されます。

  • LPのコミットメントを裏付けとするサブスクリプション・ライン・ファイナンス
    リミテッド・パートナー(LP)のコミットメントの未使用枠に対する第一償還請求権によって裏付けられています。LPのコミットメントは通常、保険会社、年金基金、政府系ファンドなどの優良顧客によるものです。
  • ファンドの純資産価値(NAV)を担保とするファイナンス(NAVファイナンス)
    一般的にライフサイクルの後期にあるプライベート・マーケット・ファンドの多様な原資産ポートフォリオやキャッシュフローを担保とします。

なぜファンド・ファイナンスなのか

上記のようなファシリティが投資家とマネジャー/ジェネラル・パートナーのいずれにとっても有益になり得るのには、次のような、いくつかのオペレーション上および財務上の理由があります。

  • マネジャーに投資活動を賄う資金が数日以内に提供される。投資家から資金を引き出す場合、はるかに長いドローダウン(資金拠出)通知期間が必要
  • キャッシュコールのタイミングがより明確になり、投資家は自らのキャッシュフローを管理しやすくなる。
  • 投資活動のブリッジ・ファイナンスとして利用することで、キャッシュコールを一本化して投資家からのドローダウンを遅らせることができる。
  • 投資家からのドローダウンを遅らせることで、初期収益率(IRR)ベースのリターンを高められる。

投資機会

ファンド・ファイナンスの投資機会は世界全体で1兆米ドルを超えています[1]。プライベート・マーケット・ファンドの規模が拡大するのに伴い、こうした投資機会は今後数年で大幅に増える見通しです。

現在は世界最大手のいくつかの銀行がこの市場を支配していますが、魅力的なリターンが得られるため、今では新たな銀行がシンジケーション・レベルで参入してきています。

実際、ファイナンス・ファシリティの規模がますます大きくなっていることから、主幹事銀行は通常、ファシリティを他の複数の銀行を含めてシンジケート化し、リスク・エクスポージャーを削減します。なぜなら、銀行は多くの場合、単一の与信限度額、セクター限度額、カウンターパーティー・リスクを管理しなければならないからです。シンジケート化によってこれらを管理することができます。

しかし、他の銀行は直接的な競争相手であるため、主幹事銀行は融資プログラムに参加する非伝統的な貸し手をますます求めるようになっています。そこで保険会社の出番です。

なぜファンド・ファイナンスは保険会社にとって魅力的なのか

ファンド・ファイナンスは、次のような特徴から、資本効率の高い投資など、保険会社の財務目的に適しています。

  • 魅力的な信用力
  • 短いデュレーション:満期は2~5年
  • パブリック・クレジット市場と相関の低いリターン
  • 低いボラティリティと信用リスク
  • 強力な構造的プロテクション(図表1)
図表1:LPのコミットメントを裏付けとするファンド・ファイナンス・ファシリティの支払い回収源

ファンド・ファイナンス戦略は、利回り向上の可能性も高めます。LPのコミットメントを裏付けとする戦略は基準金利を165~200ベーシスポイント(bp)上回るリターン、NAVを担保とする戦略は基準金利を350~500bp上回るリターンを目指すことができるでしょう。

なぜ今、保険会社がこの市場に参入すべきなのか

融資市場は総じて銀行の専門分野とされてきました。しかし近年、規制強化を受けて、銀行は銀行以外の投資家と共同投資するようになっています。そして、このような投資家にとって案件の発掘は困難です。

プライベート・マーケットのファンド・マネジャーは通常、様々な銀行サービスを提供できる銀行と仕事をしたいと考えます。これは、ファンドの法的文書や仕組みに詳しくない投資家にとっては大変なことかもしれません。

銀行やファンドの書類には複雑な内容が含まれていることも、多くの投資家にとって障害となり得るでしょう。マネジャーの実績や戦略について必要なデューデリジェンスを実施することは、困難で時間がかかる場合があります。加えて、各ローンの継続的な資金管理やモニタリングも行う必要があります。こうした状況で、ファンド・ファイナンスの運用マネジャーは、保険会社がファンド・ファイナンス市場に参加するための効率的な方法を提供することができます。

ファンド・ファイナンスの運用マネジャーの選定においては何が重要なのか

ファンド・ファイナンスの運用マネジャーを選ぶ際には、信用や流動性の管理、為替ヘッジ、そして言うまでもなくオペレーション、法律、ストラクチャリングの専門知識など、幅広い能力を持つマネジャーを検討するのが賢明だと、アバディーンは考えます。

また、利用するファンド・ファイナンス・マネジャーがすでにプライベート・エクイティ・ビークル、マネジャー、投資家について継続的に綿密なデューデリジェンスを実施している場合も助けになるでしょう。この市場で活動しているすべての有力銀行が提供する融資プログラムへのアクセスも不可欠だと考えます。

このような人脈とスキルを持つ運用マネジャーは、顧客の特定の要件に対応するために、様々な通貨のローンのほか、幅広い期間やプライシングの選択肢を提供してくれる最有力候補でしょう。こうしたデューデリジェンス能力やキャッシュフロー管理能力を持つ運用マネジャーは、顧客に優れたサービスを提供することができ、顧客の時間を節約するとともに、顧客が他の利回り向上機会を追求することを可能にしてくれると考えます。

  1. Prequin、2025年2月